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有森裕子さん
「トーキン★カフェ」今回のゲストは、元女子マラソン選手の有森裕子さん。
バルセロナ・アトランタ両オリンピックのメダリストであり、現在はスペシャルオリンピックス日本理事長、日本プロサッカーリーグ理事、いきいき健康大使、カンボジアを中心に社会活動を展開する認定NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」の代表理事など、スポーツを通じた様々な活動を行なっておられます。
多忙な毎日を過ごす有森さんですが、実は大のコーヒー好き。幼少期から慣れ親しんだ喫茶店の思い出や、器へのこだわり、世界各地で出会ったカフェやコーヒーの話、さらにご自身が国内本部組織で理事長を務める、知的障害のある人たちの継続的なスポーツ活動を支援する「スペシャルオリンピックス日本」と、今年11月に福岡で開催されるスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス2014福岡」に向けての想いまで、色々な話をお聞かせ頂きました。
※本取材は2014年8月に行ないました。
カフェトラ管理人クハラ(以下●):本日はスペシャルゲストとして有森裕子さんをお迎え致しました。どうぞよろしくお願いします。

有森さん(以下■):こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

●まず、いきなりで恐縮ですが、有森さんは大のコーヒー好きとお聞きしております(笑)。カフェトラはカフェのポータルサイトですので、まずはその辺りからお話を聞いていきたいと思います。そもそも有森さんがコーヒー好きになったきっかけを教えて下さい。

■そうですね、元々親がコーヒー好きで、昔から良く喫茶店に連れて行かれていたのがはじまりですね。私は岡山市の出身なんですが、隣の倉敷市に美観地区(全国で6都市にしかない、調和均整のとれた建築美を保っている地区)というところがあるんです。その中に「珈琲館」という喫茶店があって、そこに良く連れて行ってもらってましたね。

●昔からという事なんですが、大体いつ頃から行かれていたんですか?

■小学校を卒業したくらいからですね。

●結構早い時期からなんですね!でも、その年齢の味覚からすれば、コーヒーは「苦いだけの飲み物」じゃなかったんですか?

■飲み始めの頃は確かに苦いと思っていたんですが、飲み慣れていくうちにだんだん好きになりました。

●飲み始めの頃はやはり砂糖やミルクをたっぷり入れて?

■いえいえ、私、元々お砂糖がダメなんです。だから飲みはじめから現在までずっとブラック一筋なんです。ただ、アイスコーヒーだけはシロップを入れますけどね(笑)。

●そうなんですか!当時から大人舌だったんですね〜!

■コーヒーもそうですが、喫茶店自体が好きでしたね。クラシカルなあの雰囲気や空間がすごく心地よくて。

●分かります!幼い頃の喫茶店って、なんか大人の世界という感じがしましたよね。

■大学生になって上京してからは、色んな喫茶店を巡りはじめました。クラシカルなお店もそうですが、ちょうどその頃、アフタヌーンティーやF.O.B COOPが出来て、西洋雑貨やカフェが流行り始めたころだったので、自由が丘方面のカフェにも良く行ってましたね。

●まさにカフェブームのはしりの頃ですよね。ちなみに有森さんが喫茶店に行かれる時は、どなたと行かれますか?

■基本的に一人で利用しますね。

●そうなんですか。ちなみに店内ではどんな風に過ごされますか?本を読んだりとか?

■私は喫茶店で本は読まない派なんです。そうですね、大体、ぼーっと考え事をしていたりとか、他の人を観察していたり(笑)。

●なるほど(笑)。ちなみにお気に入りのお店はありますか?

■私は基本的に濃い目のコーヒーが好きなんです。去年の末に閉店してしまったんですが、表参道の交差点の近くに「大坊珈琲店」というお店がありまして。そこは深煎りのコーヒーをネルドリップで淹れてくれるんです。お店の雰囲気も含めて大好きでした。

●その大坊珈琲店にまつわるお話をお願いします!

■大坊さんとの出会いがまた偶然で。飛行機に乗った時、機内誌を読んでいると「備前焼のカフェオレボウルでミルクコーヒーを出す」という記事を見かけたんです。私は器も好きなので、その記事がずっと心に残っていたんですが、たまたま表参道の裏通りで偶然その器を見つけて。店主の方に「この器でミルクコーヒーが飲めるという記事を以前見たんですが、そのお店を知りませんか?」と尋ねてみたら「ああ、それなら表通りにある喫茶店だよ」って教えてくれて。すぐに尋ねると、コーヒーを用意して待っていてくれました。それが大坊珈琲店との出会いです。

●えー!そんな偶然があるんですねー!

■しかも、マスターがランナーだったということもあり、それからずっと親しくさせて頂きました。ちょうどアトランタ(オリンピック)の少し前くらいです。以前「アニモ」という著書を出したんですけど、その中でも大坊さんをご紹介させて頂きました。大坊さんが閉店なさる時にお店の歴史本を発行されたんですが、その中に私の名前を載せていただいて。もうかれこれ20年近い付き合いになりますね。

●なるほど、公私ともにお付き合いの深かったお店だったのであれば、閉店は本当に残念でしたね・・・。さて、先ほど器好きという話が出ましたが、器もお好きなんですね。

■好きですねー。コーヒー以上にカップが好きかも(笑)。中でもアンティークカップが好きです。好みの器を見かけると、金額も確かめずについ買ってしまうこともあります。後で金額聞いてびっくりしたり(笑)。あっ、そういえば今あるかな・・・(と言いながらiPad miniを取り出して、写真を見せてくれる有森さん)

●おお〜!ありがとうございます。

■これは初めて買ったアンティークのカップです。リバプールの窯のもので、取っ手がない時代のものですね。

●取っ手がないカップがあるんですか!

■この時代はポットからカップに直接コーヒーを注いでいた時代なので取っ手がないんですよ。

●そんなカップがあるんですね〜!

■ついでにもう一枚お見せしますね。これは私が毎日コーヒーを飲んでいるカップです。

●わー!そうなんですか〜!ポロのイラストですね。ちなみにこちらのカップについてご説明頂いてもいいですか?

■これはラルフローレンのもので、リクルートに勤務している時、知り合いから誕生日に頂いた物です。うちにある中では一番大きなマグカップです。

●大切なカップでもちゃんと毎日使われていらっしゃるんですね!貴重な写真を見せて頂いてありがとうございます!

●さて、話は変わりますが、有森さんは現役時代を含め、世界のいろんな国に行かれているとは思いますが、やはり海外でもカフェに行かれますか?

■そうですね、アメリカでも、ヨーロッパでも、オーストラリアでも、美味しいコーヒーが飲みたくなるので、世界のどこにいってもまずカフェを探しますね。

●海外のカフェで思い出に残るエピソードがあれば教えて下さい。

■エピソードはたくさんありますね。一番好きなのはウィーン。ウィーンはカフェの街で、至る所にカフェがあるんですが、ある店は役者、ある店は音楽家という具合に、雰囲気によって来る人が全然違うんです。そのウィーンにお気に入りのカフェがあるんですが、決してきれいじゃない、特にコーヒーが美味しいわけでもない。でも、そこにいる初老の店員さんが蝶ネクタイと黒いベスト姿で、シルバーのプレートを持って。その佇まいがすごくかっこいいんです。味以上に人に印象が残っていますね。

●まさにヨーロッパのカフェらしいお話ですね!

■あと、仕事でエチオピアに行った事もあるんですが、シダモなどはまさにコーヒーの産地なんです。街の中にもスタンドカフェがたくさんあります。シダモと言えばモカなんですが、これがもの凄く美味しくて。その頃からモカを飲むようになりました。モカは一般的に酸味があるとか言いますけど、エチオピアではそんなことなかったですね。
あと、エチオピアではティーセレモニーならぬ「コーヒーセレモニー」があるんです。これが味は美味しいんですが、すごく濃いコーヒーで・・・。3日くらい続けて受けると、
お腹を壊してしまって大変でした(笑)。
ケニアとタンザニアにも行きました。両国をまたぐようにキリマンジャロという山があるんですが、そのタンザニアサイド
で採れるのがキリマンジャロコーヒーで、ケニアサイドで採れるのはケニヤンコーヒーと呼ぶそうですよ。キリマンジャロのフェアトレードコーヒーの支援をしていたこともあり、私のミュージアムで販売もしています。他にもカンボジア・タイ・インド・・・。いろんなエピソードがありますよ。

●まさにてんこもりですね(笑)。ありがとうございます。そんなコーヒー好きな有森さんですが、現役の時にもコーヒーは飲んでいたんですか?

■さすがにそれはないですね。カフェインが入っているので利尿作用があるし、お腹がゆるくなりやすいですし。カフェインレスでもない限り、コーヒーを愛飲しているアスリートはあまりいないと思います。

●そうなんですか。選手のみなさんは普段何を飲まれているんですか?

■スムージーであるとか、一般的に体の栄養に良いとされるものです。せいぜいハーブティーとかでしょうか。現役を終えた今となっては、コーヒーは毎朝淹れて飲んでますよ。

●ご自宅ではどんな淹れ方で飲まれているんですか?

■豆を挽いて、ドリップで淹れて、先ほどのラルフローレンのカップで飲んでます。時間がない時は事務所の近くの喫茶店やカフェを利用してますね。

●なるほど。さて、コーヒーにまつわるいろんな話をお聞かせ頂いたのですが、有森さんは、今年の11月に開催される「スペシャルオリンピックス2014福岡」の大会会長を務められています。地元開催なのにまだスペシャルオリンピックスを知らないという福岡の方もいらっしゃると思いますので、スペシャルオリンピックスについてちょっとご説明して頂けますか?

■スペシャルオリンピックスとは、知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織の事です。当時スポーツを楽しむ機会が少なかった知的障害のある人たちにスポーツを通じ社会参加を応援するという目的で、1968年に故ケネディ大統領の妹ユニス・シュライバーによって設立されました。私はその国内本部組織で理事長を務めさせて頂いてます。

●なるほど。スペシャルオリンピックスって組織の名前なんですね。

■普段は都道府県単位で活動をしており、日常的なスポーツトレーニングや大会まで年間を通じて様々な活動が行われています。その国際大会となるのが、11月に福岡で開催される「スペシャルオリンピックス2014福岡」なんです。大会会長も、そのご縁で務めさせて頂く事になりました。

●福岡のどのエリアで開催されるんですか?

■開会式の会場であるマリンメッセ福岡を皮切りに、福岡市内を中心に、北九州・粕屋・宗像の全13会場で、11/1(土)〜11/3(月)の3日間開催されます。今大会に際し、地元のたくさんのボランティアスタッフにご協力を頂いております。きっと、身近な方にもいらっしゃると思います。ぜひ11/1〜3は、各会場に行って参加するアスリート達に声援を送って頂けると嬉しいですね。

●わかりました。スペシャルオリンピックスのプロモーションで福岡にはちょくちょくいらっしゃってると思うんですが、福岡でお気に入りのカフェは見つかりましたか?

■それがなかなか時間がなくて、全然行けてないんですよ(笑)。でも、「珈琲美美」さんにはぜひ行ってみたいと思っています。

●美美さんはモカですし、ネルドリップですし、きっと有森さんなら絶対に気に入ると思います!それでは最後に、カフェトラをご覧になっているユーザーのみなさんに、ひと言お願いします。

■カフェって振り返りの場所だったり、普段とは違う空間だと思うんです。カフェで時間を満喫しながら、日々の忙しさを少しだけ忘れて、気持ちよく翌日を迎えて頂けたらと思います。また、初めて福岡で開催されるスペシャルオリンピックスを、ぜひ現場にきて楽しんで欲しいと思っています。

●有森さん、本日はどうもありがとうございました!!

有森裕子さんのインタビュー、いかがでしたでしょうか。
実はインタビューの後も有森さんのiPad miniの中のカフェや器の写真を見ながら、たくさんお話を聞かせて頂きました。有森さん、海外のカフェ事情にものすごくお詳しい!ぜひ海外のカフェのガイドブックを出版して欲しいくらいの情報量でした。
ちなみに、後日またご来福された際、珈琲美美にも行かれたようで、とっても気に入っていらっしゃったそうですよ♪

そして、有森さんが大会会長を努める「スペシャルオリンピックス2014福岡」も11月にいよいよ開催されます。機会があればみなさんもぜひ会場に足を運んでみて下さいね!

> スペシャルオリンピックス2014福岡公式サイトはこちら!

取材/久原茂保(CAFE@TRIBE) 写真/山辺学(calmphoto)
協力/公益財団法人 スペシャルオリンピックス日本  取材協力/bakery cafe kichen Lamp

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