今年に入ってから「将来、コーヒーに携わる仕事をしたい」という方との機会が増えました。プロとして一人立ちする為にコーヒーについて学びたい、というお考えのもと、コンサルタントや技術指導等をリクエストされます。 実際にはその方の希望するレベルや方向性を考慮してリクエストにお応えしていきますが、 今回はコーヒーを学びたい、という方に共通する基本的なことをご説明しましょう。

【1】味をとれるようにしましょう。

【2】料理をしましょう。

【3】たくさんの店の味を知りましょう。


一般的にコーヒーの勉強、と言うと「淹れ方」や「ローストの仕方」をイメージする方が多いと思います。 決して軽んじるわけではないのですが、これらは「ご本人のコーヒーの嗜好性」と強く関連性があり、「この様な味が欲しいから、こうすればよい」という範疇なのです。
故に、唯一絶対の正解があるわけではなく、「この操作によって、味わいがこうなる」という基本的な事さえ覚えれば、後は個人の裁量なのです。
勿論、現在もプロの間では「抽出」や「ロースト」の研究が続けられており、より良いクオリティを引き出す為の議論や情報交換がなされています。
しかしながら、これからコーヒーの分野に入ろうとする方には、この部分は継続して追及すべきテーマではありますが、より優先順位の高い事があるように感じています。

最も大事な【1】は 「この豆はこんな味」という、個々の豆の味わいを記憶する作業です。これが最初にきちんとできないと、他の人(お客様)に味わいを説明できませんし、ましてブレンドの作出など不可能です。
各豆の味わいの覚え方は自由なのですが、コミュニケーションする相手にもイメージできる内容でないと意味がありません。
例えば、あるコーヒーの香りを「以前、友人からもらったお菓子の匂い」と記憶していて、そのまま相手の方に伝えても何も分かりません。
両者でイメージが共有できる「言葉」と連動して記憶するのがポイントです。

【2】 は特にブレンドを創作する際に役に立ちます。ある料理のレシピを覚え、実際に作る。味わいを確かめて、こんな材料をこの量で、この段階で使うからこんな味になる。 次はここをこうして・・という事を何度も繰り返すわけです。
このような流れはコーヒーに限らず、あらゆる分野で有効だと思います。ある料理を満足できるように作れたら、似たようなレシピの料理も、ある程度美味しく作れるようになると思います。
コーヒーでもブレンドに対する効用だけでなく、ローストに対する考え方、抽出に対する考え方も幅広い見方ができると考えています。料理には段取りの手際も大事で、上手くなればなるほどスピーディーで的確なブレンドの作出も可能です。そして何より舌を鍛えられるのが最も有用なことなのです。

【3】は嗜好性に関します。世の中にはたくさんのコーヒーショップやビーンズストアがあり、これからコーヒーを学びたい、とお考えの方はご自身が「最も美味しい」 とお感じの店に師事を仰ぐべきだと思います。縁故や店主の人柄も大事だとは思いますが、有名店であるとかコンサルティングが充実しているからとりあえず・・と言うのは、最終的にご自身が自信を持ってお客様に提供できるコーヒーに近づけるか、という根本に立ち返った場合、優先するべきではないでしょう。
必ず、お店に足を運び店主の勧めるコーヒーを口にする事が最も大事だと考えます。 思いの外、コーヒー一つでもたくさんの味わいがあることをお感じになるでしょう。

「なんだ、コーヒーの専門知識ではないじゃないか」とお感じの方も多いでしょう。 ちょっと横道ですが、茶道の極意に「利休七則」というものがあり、これも「そんな事なら誰でも分かる」という内容です。ですが、「それらがあなたに出来たなら、私はあなたの弟子になりましょう」と利休は述べたそうです。勿論、私のコーヒーに対する見解と利休の伝えを並べる不遜はありましょう。ですが、何事も基本というのは単純でしかも奥が深いものだと思うのです・・


ガテマラ「La・Conception農園」
現在、主要銘柄の中で最も多様な商品が流通している生産国はガテマラでしょう。 どのコーヒーストアがどのガテマラの商品を扱っているかによって、その店のスタイルを判断するのに良いかもしれません。 この「La・Conception農園」は洋ナシの様な丸い酸味とウェハースの様な香ばしさが特徴です。


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