「ブレンド」・・単に和訳すると「配合」とか「合組み」等の意味の言葉は、日本では「コーヒー」の代名詞とも言い換えてよいほど一般 的で慣れ親しんだ単語です。
専門的な選択性を必要としない手軽なイメージがあるのでしょうか、多くのコーヒー初心の方やギフトでお買い求めの方はほとんど「ブレンド」を選択されますし、 喫茶でも「とりあえず」的な位置づけでオーダーされるケースが大部分です。

「中庸・無難・いつも同じ味」というキーワードは確かにブレンドコーヒーの特性であり、事実そのようなイメージをお持ちの方は大多数であると考えられます。

一方、海外では「ブレンド」の位置づけは日本と異なり、各ロースターは独自の「ハウスブレンド」に強烈な誇りを持っており、消費者もお店の「顔」であるハウスブレンドの熱心な支持者であるようです。日本(人)は専門性を高めようとすると「単品」「ストレート」を追求する傾向があるようで、「ブレンド」はコーヒーに対して関心が高い方ほどあまり見向きされない側面 があります。

ところがプロは勿論、アマチュアの方でも通常入手できるコーヒーに飽き足らず、「自分好みの味を作りたい」という欲求に駆られると「ブレンド」の壁はとたんに高く感じます。

使用する豆の種類や同じ豆でも焙煎度を変えることによって、ブレンドのパターンは無限にある、と言ってよいでしょう。 プロは各々独自のノウハウを持っており、自由な裁量 がまかり通るだけにアマチュアの方が体系的にお手本にできるパターンも少ないようです。

とは言え、お手元に何種類かあるコーヒーを使って、自分好みのコーヒーにトライされるのも一興ではないでしょうか。 今回は基本の組み合わせをご紹介します。

・最も基本的な配合は「3点配合」です。
コーヒーだけではなく、カクテルの世界でも定番のレシピの多くに3点配合を見ることができます。

仮に各パートをA・B・Cとします。各パートには役割を持たせます。これにも様々な役割があるのですが、代表的なパターンとして

・Aは味の主体、メインのパート(5割以上の使用)
・BはAを補い、Aを際立たせる香味を持つパート(3割程度)
・CはAとBを違和感なくジョイントさせるパート(2割前後)


という考え方のもの。

カクテルに例えると「マティーニ」でしょうか。ジン(A)が主体でベルモット(B)がハーブ等のアクセントを添えます。
両者にオレンジビターズ(C)が入ることによって一体感をもたらします。

もう一つのパターンとして

・Aは使用量多いがジョイント役(4割程度)
・BとCは個性の強い味わい(3割前後ずつ)


個性の強い2者を、Aが黒子役でまとめます。

これもカクテルに例えると「ホワイトレディー」でしょうか。甘みのコアントロー(B)と酸味のレモン(C)のバランスがポイントで、ジン(A)は使用量 が 多いのですが、味わうと強く主張することはありません。

どちらもポイントはA・B・Cが良くまとまり、一体感が得られることです。「何だか良く分からないけどおいしい」が合格基準です。 「あ、これはコレとコレ・・」と言い当てられる味わいですと配合する意味が薄れます。

多くのコーヒー解説書にある「コロンビア50%・・ブラジル30%・・」という考え方は、今やブラジルやコロンビアで多様な品種や精製の豆が 流通している現状では一様に当てはまりません。「ブラジルの、どの豆を使えっちゅうねん!?」という事です(苦笑)

この他にもブレンドに関しては様々なパターンがありますが、上記の2ケースでブレンドを作ろうとすると、完成には何十杯もチェックしなければなりません。 一度、いつも御用達のブレンドについて店主にそのストーリーを聞くと、いつもとは少し違う味わいを楽しめるのではないでしょうか・・ ちなみにコーヒーストアでよく見る「○○通りブレンド」とか「△△(地名)ブレンド」とかの意図するところ、私にはさっぱり理解できません(苦笑)


「キューバ クリスタルマウンテン」
ブレンドに不向きな豆もあります。当店で最もブレンドと縁遠い銘柄である「クリスタルマウンテン」。キューバの最上位 銘柄ですが、味わいが繊細な上、適正ローストがかなりの浅煎りなので他の豆との相性を 考えるのはかなりの難易度です。中国茶のような味わいと干草の香りはストレートで味わってこそ持ち味が発揮されるでしょう。