当店の販売コーヒー豆のディスプレーを眺めるお客様から 「有機の豆は扱ってないのですか?」とお問い合わせいただくことがございます。 食材志向が高まる中、好ましい傾向だなぁ、と感じつつやり取りさせていただいています。

しかしながら当店ではディスプレーに、「有機」のキーワードを前面 には出していません。今回はちょっとその辺りをお話しましょう。

「有機」とは他の植物や動物由来、または醗酵物等の「有機物」を使用する栽培農法を指します。 一般的な化学肥料は植物の生育に必須と言われる窒素、リン酸、カリウムを中心としたもの。人間に置き換えるとサプリメントでしょうか。

化学肥料だけでコーヒーの木も生長するのですが、サプリメントだけで健康な身体を得られないのと同様に、植物も本来の力を発揮できません。

もう一つ、土壌改良的な目的があります。 長期間、単一植物を生産すると土壌力が衰えます。これを補うために有機が導入され、むしろ現在ではこちらの目的の方が大きいと考えられています。

さて、コーヒーにおける「有機豆」の特徴を2つ挙げてみましょう。

・生産や精製上の問題
・味わいの差別化
・生産上で最も大きい理由は多大なコストです。

ここ1・2年でコーヒー豆の生産者価格は上昇に転じています。また少しでも味わいの向上を目指して取り組んでいる生産者が出てき始めています。 しかしながら、今だ十分な利益を有機栽培投資に廻せる余力のある生産者は一握りというのが現状です。

また、精製工程の問題としては「有機豆」だけの処理ラインを確保しなければ、それを名乗ることができない、というものです。 複数農園の豆を一緒に精製する生産地の現状では「そうでない豆」の影響を避けるための専用処理ラインへの投資はかなり高いハードルになっています。 途上国が生産地という実情が他の農作物ほど有機がメジャーになっていない理由です。

味わいの違いなのですが、結論から申し上げると「あまりおいしさに差がない」という点です。 普通は有機や無農薬によって動・植物のポテンシャルを最大限に引き出し、味わいにも大きく反映します。 植物に関しては葉・根・果肉・果汁等でのおいしさの差は明らかでしょう。ところがコーヒーは「種」であり、あまり味わいに反映されないのです・・

厳密に言えば「多少はある」のですが、一般消費者の方がハッキリと認識する程の差別 化が難しいのです。 その割りにコストがかかっていて、通 常の1.5〜2倍位しますので「価格分、おいしい」とはなかなか言えません。

「有機」というと「安全」「おいしい」というイメージがありますが、「有機」と「安全」は別 モノですし、「おいしさ」に関しては現状はそこまで強調できない・・ のですが、将来は「有機で当たり前」という時代になるでしょう。少なくともトップレベルを目指すコーヒーストアであれば、もはや「有機」を売りにする必要はないと思います。

当店のラインナップの多くに有機認証の豆がありますが、そういった事情で積極的にアピールしていません。 何より、個人的にはコーヒーは嗜好品だと考えていますので「有機」というキーワードだけで選んでいただくことに若干の抵抗があるのです…もちろん、お問い合わせ頂ければご説明してオススメ致してます(笑)。


コロンビア「オズワルド農園」2005年品
筋金入りの有機派生産者、オズワルド氏のリリースするティピカ種。アメリカ農務省(USDA)認定農園。レインフォレスト・アライアンス(熱帯雨林同盟)認証。バードフレンドリー(自然にやさしい農園)認証 というそうそうたる肩書き…「最高のコーヒーは畑から」にふさわしく、素晴らしい味わいですよ。