前回は・・・・・
西岡
:素材って言えばですね、カッピングセミナーの時に、コーヒーの味の要素を習ったんすよね。フレーバー(香り)、アフターテイスト(後口)、アシディティ(酸味の質)、マウスフィール(口に含んだ時の触感)、スイートネス(甘み)、クリーンカップ(口に含んだ時の透明感)なんっすけどね、一番大事なのってどれなんっすか?

ハニーおやじ:どれが大事かって?よし!じゃあ、次回はその辺からスペシャ ルティコーヒーについて、少し考えてみようかね。
って云うところまででしたよね。さて、今回はその続き・・・と行きましょう。
ハニーおやじ:スペシャルティコーヒーっていうのは、「口に含んだ液体の風味に、際立つ印象があり、爽やかで明るく、透明感があり、舌触りが滑らかで、さらに後口が持続し、甘さで消えていく、つまり本当に美味しいという感動を与えることが出来るコーヒー」なんだよね。って言ったって、とっても抽象的で曖昧やんか。そこで、コーヒーを客観的に評価する方法が必要になり、そのために、味をいくつかに分けて評価する方法を、ジョージ・ハウエルと云う人が考え付いた訳だ。
現在も、その 評価法は色々なコンペティションの審査で使われているし、西岡君がカッピングセミ ナーで習ったのも、その評価法を基本にしたものなんだ。現在、最も信頼できて、最も客観的に評価できる評価方法だと思う。
・・・で、その項目の中で、と言うか、コーヒーで特に大事な要素は何だ?っていう質 問だったよね。とても難しい質問だけど、僕は「酸味」だと答えたい。酸味は、コー ヒーに、爽やかさや活き活きとした印象を与え、しかも繊細さを感じさせ、シッカリ としたバックボーンを与えるものだからね。勿論、これは酸味の強さとは全く関係な い。よく、「酸味は大嫌いなので、酸味の少ないコーヒーを下さい。」って言う人が いるけど、そういう人は、スペシャルティコーヒーのような、素晴らしい酸味のコー ヒーを飲んだことが無いんだと思う。でもそれは仕方のないことで、そんな素晴らし い酸味を持ったコーヒーなんて、前回も話したように非常に手に入りにくいからね。

西岡:要するに「酸味の強さ」じゃなくて「酸味の質」が大事ってことっすね。 でも、酸味の質を判断するって、なんか難しくないっすか?
ハニーおやじ:そりゃあそうさ。そんなに簡単に分かるもんかぃ。このコーヒーの酸味がどんな酸味の質で、何点を付けるべきなのか、って言うのはとっても難しいよね。だけど、このコーヒーは、良い酸味を持つコーヒーなのかどうか、って言うのは、冷めた時に、後口が爽やかなのかどうか、そして後口が甘さに包まれて終わるかどうか、味に透明感があるかどうか、に注意すれば、誰でも大体分かると思うよ。
冷めた時、がポイントね。

西岡:そうっすよね。僕もやっと最近、少しだけど分かるようになって来たんっすよ。
ハニーおやじ:ホント?そりゃぁ凄い。最初のカッピングセミナーの時は散々だったもんね。あの時からすると格段の進歩やね。
西岡:それは言わないで下さいよ〜。あの時はサッパリだったんすから。ところで、僕らにとって一番大事な、エスプレッソにとっての酸味って言うのはどうなんっすかね。
ハニーおやじ:最近、バリスタ選手権が行われてるよね。各国で国内大会が行われ、その後、各国のチャンピオンが集まって、世界大会(WBC)が行われる、いわばバリスタのオリンピックのようなもので、西岡君たちマヌのスタッフも2年前から出てて、その時から味の面での審査員の評価はとても高かったよね。
去年なんか、決勝大会まであと一息だったもんね。僕も、審査員やボランティアなどのお手伝いを通して、色々と勉強させてもらったけど、参加するだけでも、バリスタにとっては、とても大きな収穫になると思うよ。
・・・で、そのWBCの審査の基準からすると、酸味が強いからダメだということは決してない。ただ、さっきも言ったように、酸味の質はとても重要な要素だという事は忘れないで欲しい。でも、一番大事なのは、お客さんだね。バリスタがどんなに美味しいエスプレッソだと思っても、お客様から突き返されたら終わり。バリスタって云うのは、お客様を本当に美味しいコーヒーと一流の接客で楽しませる職業だからね。素晴らしい酸味はエスプレッソにも必要だけど、強すぎると嫌われる傾向にある。僕自身は、酸味が多少強ても大丈夫だけど、沢山のお客さんに満足してもらわなければならないカフェの場合は、味のバランスも考えた方が良いね。今のブレンドで良いんじゃない?

西岡:そうなんっすよね。僕自身は酸味が好きなんっすけど・・いや、勿論、良い酸味っすよ・・でも、やっぱりお客さんの中には酸味がダメだって言う人が多いんっすよね。
ハニーおやじ:そうね。豆屋さんに行ってエスプレッソ用のコーヒー豆を下さいって言ったらメチャメチャ深く焼いたのが出てくるんだよね。一般に出回るコーヒーに、良い酸味を持つコーヒーなんて殆ど無いから、そんなコーヒーをエスプレッソに使うと、嫌な酸味が強調されて飲めたもんじゃないんだよね。だから酸味を感じないくらいまで深く焼くのかも知れないね。でもそんなのでエスプレッソを入れたら、苦味だけ強調されてしまってこれまた飲めたもんじゃない。同じようなのがイタリアの南部のコーヒーで、焼きが深く、しかもロブスタも使ったりするから、お世辞にも旨いとは言い難い。でも勿論、イタリア南部の人たちは、俺たちのが一番旨いって言うと思うけどね。もしかしたら、そんなコーヒーを飲んだ人たちから、エスプ レッソに酸味があったらダメだって云うことになってるのかもしれないね。
西岡:そうっすね。でも僕は、スッキリした質の良い酸味は、エスプレッソの味の輪郭をハッキリさせる働きがあると思ってるんっすよね。だから、良い酸味は必要だと思うんすょ。ところでですね、よく、ブラジルで、ナチュラルはパルプトナチュラルより酸味が少ないって聞くけど、ホントなんっすか?
ハニーおやじ:なるほどね、だいぶ突っ込んだ質問じゃぁないですか。よし、それなら、次回はその辺の精製の仕方もちょっと考えてみようかね。

 ・・・・・・と、今回はここまで。
いかがでしたか?なんとなくでも、良いコーヒーがどんなものか、少し見えてきましたでしょうか?次回はだいぶ突っ込んだ話になるとおもいますので、楽しみにしていてくださいね。
では、また。 ハニーおやじ。
ハニー珈琲:井崎克英プロフィール
1953年、福岡県出身。1977年から小中学生向けの学習塾『高陵学園』を南区に設立。効率的な授業システムの構築に情熱を注ぐが、1996年南区野間ダイエーのコーヒー豆専門店『ハニー珈琲』の経営を頼まれ、権利を買い取り全く畑違いの道に進 む。2001年、スペシャルティコーヒーと言われる素晴らしいコーヒーを手に入れたく、創成期の『珈琲の味方塾』に参加。以来「本当に美味しいコーヒーとは何か」を常に追い求めながら現在に至る。なお、ハニー珈琲の全てのコーヒー豆はスペシャルティコーヒーになっている。

manu coffee :西岡総司プロフィール
1975年、長崎県出身。1997年頃より現在のmanu coffeeのスタッフ達に出会う。2001年に「師匠」と仰ぐハニー珈琲の井崎氏と出会い、スペシャルティコーヒーの存在を知る。2002年に独立し、2003年にはmanu coffee春吉店、舞鶴店の2店舗をOPEN。その後も気の合う仲間と出会いを重ね、現在スペシャルティコーヒーに没頭中。2006年に開催されたカフェトラグランプリ「最強の珈琲選手権」ではなみいる名店を押さえ、第1位を獲得。そのクオリティには高い評価を得ている。


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